学生の方は確定申告はどうしたら良いかについて書こうと思います。
アルバイトをしている学生、
業務委託をしている学生、
アルバイトと業務委託の両方をしている学生。
それぞれの学生が、いくらまでなら確定申告が不要なのか、
さらに親の扶養から外れないのはいくらまでなのか、
書こうと思います。
細かく書いていますが、太字と色がついているところを読むだけでも大事なことはわかるように書きました。
なぜ確定申告が必要なのか
確定申告とは簡単に言うと、所得税をいくら払うのかを算出することが目的です。
所得税とは、個人の所得に対してかかる税金のことです。
所得とは、簡単に言うと、稼いだお金の利益のことです。
つまり所得税とは、働いて稼いだら、税金がかかりますということです。
しかし、人それぞれ稼いでいる金額は違い、納める税金の金額も違います。
その納める金額がいくらなのかを計算して確定し、税務署に申告するのが、確定申告です。
どうして確定申告が必要なのかは、こちらの記事にも詳しく書いています。
気になる方は読んでみてください。
ウーバーイーツ 確定申告はどうする?【前編】
学生の場合、税金や確定申告はどうすればいいのか
学生であっても、働いていれば税金を払う義務はあります。
しかし、控除という税金の支払いを優しくしてくれるものがあります。
個人の経済事情を加味して、税金を払う負担を少なくしてくれる制度です。
なので普通にアルバイトなどをしている分には、稼いでも控除で相殺されているので、税金を払う必要がないような気がしてしまうんですよね。
しかし、払う義務がないわけではないので、
どれくらい稼いだら税金がかかるようになるのか、いくらまでなら税金がかからないのかは、知っておいた方がいいのではないかと思います。
学生の場合は、いくらまでなら所得税を払わなくて済むか(確定申告の有無)と、親の扶養から外れないかどうかという心配があると思います。
これらはごっちゃになりやすいですが、別物なので分けて考えていきます。
扶養から外れるとどうなるのか
扶養というのは、独立して生計を営めない人の生活を援助することです。
16歳以上の養っている家族が一定の条件に当てはまっていると「扶養控除」というものを受けることができます。
簡単に説明すると、養っている家族がいる人の税金の負担を減らす制度です。
この扶養控除を受けるための条件は以下です。
(1) 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
(2) 納税者と生計を一にしていること。
(3) 年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること。
(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
扶養控除|国税庁
堅苦しいですが噛み砕いて言うと、
親族であり、生活の資を共にし、所得が48万円以下で、家業を手伝っていないこと
ということになります。
生計を一にするというのは、一緒に暮らしていなくても大丈夫です。
生活費や学費などを仕送りがおこなわれていれば「生計を一にする」ものとして扱われるようです。
これらに当てはまれば、扶養している人(学生の場合は親が多いかと思います)親は扶養控除を受けることができ、親の税金が高くならずに済みます。
「勤労学生控除」とは
勤労学生控除というのは、働いている学生が受けられる控除のことです。
簡単に説明すると、働きながら学校に通う人の税金の負担を減らす制度です。
この控除が受けられる人の条件は3つあります。
(1) 給与所得などの勤労による所得があること
(2) 合計所得金額が75万円以下(令和元年分以前は65万円以下)で、しかも(1)の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること
例えば、給与所得だけの人の場合は、給与の収入金額が130万円以下であれば給与所得控除55万円を差し引くと所得金額が75万円以下となります。(3) 特定の学校の学生、生徒であること
勤労学生控除|国税庁
噛み砕いて言うと、
働いて得た収入があり、その所得が75万円以下で、労働以外の所得が10万円以下で、学校に通っている
ということになります。
労働以外というのは、株の取引や不動産の家賃収入などになります。
特定の学校というのは、小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校などになります。
勤労学生控除の金額は27万円になっています。
勤労学生控除を受けるためには上記の条件を満たしていて、確定申告をする時は学校などから交付された証明書を用意する必要があります。
学生でアルバイトをしている場合
ウーバーイーツなどのフードデリバリーは、アルバイトではないのでこれには当てはまりません。
しかし、103万円の壁や130万円の壁などと言われるので、それのことについて書いておきます。
確定申告が不要なのはいくらまでか
これは130万円の壁などと言われたりするものです。
130万円までであれば、所得税がかからない(確定申告が不要)という意味です。
なぜ130万円なのかというと、130万円分の控除を受けることができるからです。
学生がアルバイトで給与所得をもらっている場合、受けれる控除は3つあります。
基礎控除という誰でも受けることができる控除、48万円。
給与所得控除という給料をもらっている人が受けれる控除、55万円。
勤労学生控除という学生が受けれる控除、27万円。
基礎控除48万円と給与所得控除55万円と勤労学生控除27万円を合わせると、130万円になります。
この130万円は給与収入から引くことのできる金額です。
例えば、給与収入が130万円なら控除の130万円を引くと、130万円-130万円=0円になります。
所得税というのは所得がある人が払うものなので、所得が0もしくはマイナスの人は払う必要がありません。
なので、130万円以下の場合は、課税所得がないので確定申告も不要ということになります。
(課税所得とは収入から控除を引いたものです。)
給与ではない、報酬をもらっている方には当てはまらない話なので注意してください。
親の扶養から外れないのはいくらまでか
こちらは103万円の壁などと言われます。
103万円までであれば、扶養から外れないという意味です。
「扶養から外れるとどうなるのか」で記載した通り、
親が扶養控除を受けるには、学生の所得が48万円以下でないといけませんでした。
しかし、給与をもらっている場合は給与所得控除55万円が受けられるので、55万円多く稼いでも大丈夫になります。
48万円と給与所得控除55万円を合わせると、103万円になります。
なので、103万円までは扶養から外れないと言われています。
ちなみにここでは勤労学生控除の27万円を加味することはできなくなっています。
勤労学生控除は学生に対するもので、親には使えないので、扶養を考えるときには使えないとのことでした。
なので48万円+55万円+27万円=130万円ではなく、
48万円+55万円=103万円で考えることになります。
103万円を超えると親の税金が高くなってしまうので気をつけてください。
103万円以下であれば、親の扶養を外れることがなく、親は子供を扶養していることになるので、親は扶養控除を受けることができ、親の税金が高くならずに済みます。
アルバイトをしている学生は
130万円までは、自分自身が所得税を払う必要がない(確定申告が不要)
103万円までは、親の扶養を外れなく、親の税金が高くならない
ということになります。
学生で業務委託をしている場合
さて、ここまでは給与をもらっている学生の話でした。
ここからは、給与をもらっていないウーバーイーツなどの業務委託をしている学生ではどうなるかのお話です。
確定申告が不要なのはいくらまでか
確定申告が必要になるのは所得が75万円を超えた場合です。
なぜ75万円なのかと言うと、
基礎控除48万円と勤労学生控除27万円を合わせると75万円になるからです。
75万円稼いで、75万円控除で引かれたら、0円になりますよね。
所得税は所得がある人が払うものなので、0やマイナスの場合は、所得税を払う必要がなく確定申告の必要がないということになります。
注意して欲しいのは、75万円しか稼いではいけないという意味ではないことです。
所得が75万円以下であればいいのです。
所得は、収入から経費を引いたものになります。
経費とは、その売上を出すために必要になった出費のことです。
例えば85万円の売上があって、その売り上げを出すために10万円の自転車を買った経費がかかったとします。
85万円-10万円=75万円になり、そこから基礎控除の48万円と勤労学生控除の27万円の75万円を引いて0円、つまり所得税はかからないことになります。
売上-経費=75万円以下であれば、所得税を払う必要が無い(確定申告が不要)ということになります。
75万円を超えたら、所得税を払わないといけないので、確定申告が必要になります。
親の扶養から外れないのはいくらまでか
48万円を超えたら、親の扶養からは外れてしまいます。
収入-経費が48万円です。
理由は、業務委託の場合は控除が基礎控除の48万円しかないためです。
アルバイトの場合は給与所得控除55万円があったので103万円でしたが、
業務委託の場合は給与ではないので、給与所得控除を受けられないのです。
ちなみにここでも勤労学生控除の27万円を加味することはできなくなっています。
なので48万円+27万円=75万円ではなく、48万円で考えることになります。
業務委託をしている学生は
75万円までは、自分自身が所得税を払う必要がない(確定申告が不要)
48万円までは、親の扶養を外れなく、親の税金が高くならない
ということになります。
この金額は報酬の金額ではなく、所得(報酬から経費を引いたもの)の金額になります。
学生でアルバイトと業務委託の両方をしている場合
アルバイトで給与をもらい、業務委託で報酬をもらっている場合です。
確定申告が不要なのはいくらまでか
前提として、複数収入源がある場合は、給与以外の所得が20万円を超えると確定申告が必要になっています。
これは学生かどうかは関係なく決まっています。
2 1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
3 2か所以上から給与の支払を受けている人のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える人
給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁
これを見ると、業務委託は20万円までしかだめなのか!という感じがしますが、実はそうでもないようです。
「給与の支払を受けている人」というのは、「給与所得がある」という意味になり、「給与収入ー給与所得控除55万円が1円以上ある人」という解釈をするようです。
ということは給与が55万円だとしたら、55万円ー給与所得控除55万円=0円となり、「給与の支払を受けている人」には当てはまらなくなります。
するとどうなるかというと、業務委託のみの学生と同じように、75万円までは確定申告が不要ということになります。
75万円の理由は、
基礎控除48万円と勤労学生控除27万円を合わせると75万円になるからです。
業務委託での所得が75万円だとしたら、所得75万円ー基礎控除48万円ー勤労学生控除27万円=0円になります。
所得税は所得がある人が払うものなので、0やマイナスの場合は、所得税を払う必要がなく確定申告の必要がないということになります。
給与が55万円以下、そして業務委託の所得が75万円以下なら、所得税がかからない(確定申告が不要)ということになります。
親の扶養から外れないのはいくらまでか
アルバイトのみの学生と同じく、103万円以下になります。
理由は、基礎控除48万円と給与所得控除55万円を合わせると103万円になるからです。
所得税がかからないかつ親の扶養から外れないためには、
103万円のうち、給与を55万円までにして、残りを業務委託で稼ぐのが良いと思います。
103万円稼いでもいいうち、給与で55万円稼いだら、残りは、103万円-55万円=48万円になります。
給与が55万円以下で、業務委託で48万円までなら、所得税がかからなく親の扶養からも外れないことになります。
これは業務委託を最大にしたい場合です。
次は、給与を最大にしたい場合を考えてみます。
給与が83万円とします。
この場合は、83万円ー給与所得控除55万円=28万円になります。
(この時点で「給与の支払を受けている人」になります)
業務委託で稼いでも大丈夫な金額は、基礎控除48万円があるため、48万円ー28万円=20万円になります。
(「給与の支払を受けている人」ですが、20万円以下のため確定申告が必要な人には当てはまりません)
これをまとめると、
給与が83万円〜103万円の間で、業務委託の所得が103万円から給与を引いた金額なら、所得税がかからなく親の扶養からも外れないことになります。
もうひとつ例を出してみます。
これは稼げる金額が少なくなってしまうパターンです。
例えば、給与が73万円の場合。
73万円ー給与所得控除55万円=18万円になります。
(1円以上のため「給与の支払を受けている人」になります)
48万円ー18万円=30万円で、30万円までは扶養からは外れません。
しかし、20万円以内にしないと確定申告が必要になります。
(「給与の支払を受けている人」は、20万円を超えると確定申告が必要な人に当てはまります)
給与が55万円〜83万円未満だと、業務委託の所得は20万円以内でないと、確定申告が必要になることになります。
これだとトータルの収入が103万円までいけないので、ちょっともったいないかもしれませんね。
アルバイトと業務委託の両方をしている学生は
自分自身が所得税を払う必要がない(確定申告が不要)なのは、
給与が55万円以内かつ業務委託の所得が75万円以内
親の扶養を外れなく、親の税金が高くならないのは、
給与が55万円以下で、業務委託の所得が48万円以下
もしくは
給与が83万円〜103万円の間で、業務委託の所得が103万円から給与を引いた金額
もしくは
給与が55万円〜83万円未満で、業務委託の所得は20万円以内
ということになります。
まとめ
学生が、確定申告の必要がなく、親の扶養から外れない金額は次のようになります。
アルバイトをしている学生は
130万円までは、自分自身が所得税を払う必要がない(確定申告が不要)
103万円までは、親の扶養を外れなく、親の税金が高くならない
→103万円までなら、確定申告が不要で親の扶養からも外れない
業務委託をしている学生は
75万円までは、自分自身が所得税を払う必要がない(確定申告が不要)
48万円までは、親の扶養を外れなく、親の税金が高くならない
→所得が48万円までなら、確定申告が不要で親の扶養からも外れない
アルバイトと業務委託の両方ともしている学生は
自分自身が所得税を払う必要がない(確定申告が不要)なのは、
給与が55万円以内かつ業務委託の所得が75万円以内
親の扶養を外れなく、親の税金が高くならないのは、
給与が55万円以下で、業務委託の所得が48万円以下(業務委託を最大にできる)
もしくは
給与が83万円〜103万円の間で、業務委託の所得が103万円から給与を引いた金額(給与を最大にできる)
もしくは
給与が55万円〜83万円未満で、業務委託の所得は20万円以内
→給与が55万円以下で、業務委託の所得が48万円以下(業務委託を最大にできる)
もしくは
給与が83万円〜103万円の間で、業務委託の所得が103万円から給与を引いた金額(給与を最大にできる)が、
確定申告が不要で親の扶養からも外れなく上限まで稼げる
基本的に扶養を外れなければ、確定申告が必要なラインには到達しないので、扶養を超えない範囲で稼ぐのが良いと思います。
また、税理士や税務署の方に確認することをおすすめします。
業務委託の場合は、経費があると所得を減らすことが可能です。
経費について、どんな物が経費として扱えるのかなどを書いた記事があります。
こちらも合わせて読んでみてください。
ウーバーイーツ配達員の経費と勘定科目
今回は所得税についての話でしたが、所得税と似たものに住民税というものがあります。
住民税も一定額を超えると払う必要があるので、住民税についてもいくらまでなら非課税なのか知っておくと良いのではないかとも思います。
住民税について書いた記事はこちらになるので、合わせて読んでみてください。
学生の確定申告 いくらまでなら稼いでも大丈夫なのか【住民税編】